怒りと向き合うワークブック

許せない感情の根源にある「過去の傷」と向き合う紙での書き出しワーク

Tags: 許せない感情, 怒り, 悲しみ, 書き出しワーク, 過去の傷, 自己理解, 感情整理, 心理学, 心のケア, 紙とペン

許せない感情が問いかける「過去の傷」とは

長く心に残り続ける許せない怒りや悲しみは、時に私たちを苦しめ、前に進むことを難しくさせます。なぜ、特定の出来事や人物に対して、こんなにも強く、許せないという感情を抱き続けてしまうのだろうかと、ご自身に問いかけたことがあるかもしれません。

このような感情は、単に現在の出来事に対する反応であるだけでなく、私たちの過去の体験、特に癒えていない心の傷や満たされなかったニーズに根差していることがあります。現在の出来事が、過去の傷を再び刺激し、当時感じた感情を呼び起こしているのかもしれません。

この深いレベルで感情を理解することは、感情に振り回される状態から、感情を一つのメッセージとして受け止め、自己理解を深めるための一歩となります。この記事では、許せない感情の根源にあるかもしれない「過去の傷」に光を当て、それと向き合うための紙での書き出しワークをご紹介します。

特別な準備は必要ありません。紙とペンがあれば、ご自身のペースで安全に取り組むことができます。

ワークの目的と準備

このワークの目的は、今あなたが抱えている許せない感情と、その感情が引き起こされる背景にある過去の体験や心の傷との繋がりを見つけ出すことです。この繋がりを理解することで、感情への新たな視点が生まれ、癒やしへの道が開かれることがあります。

準備するもの

ワークに取り組む上での心構え

紙での書き出しワークの手順

それでは、具体的な書き出しワークの手順です。紙を数枚用意し、それぞれのステップで感じたこと、思い出したことを書き出していきましょう。

ステップ1: 今抱えている「許せない感情」を特定し、書き出す

まず、今あなたが一番向き合いたいと感じている「許せない感情」について具体的に書き出してみましょう。

(紙に書き出す形式の例)


ステップ1:今の許せない感情


ステップ2: その感情が引き起こす「過去の感覚」を探る

ステップ1で書き出した感情や体の感覚に意識を向けたまま、それが過去のどんな体験や感覚と似ているか、心に浮かぶものを書き出してみましょう。

(紙に書き出す形式の例)


ステップ2:過去の感覚


ステップ3: 過去の体験と現在の感情を結びつける

ステップ2で浮かんだ過去の体験や心の傷と、現在の許せない感情との間に、あなたなりの繋がりを見つけて書き出してみましょう。論理的である必要はありません。心の中で感じられる繋がりを言葉にしてみます。

(紙に書き出す形式の例)


ステップ3:過去と現在の繋がり


ステップ4: 過去の自分へのメッセージを書き出す

ステップ2や3で触れた、過去に傷ついた自分自身に対して、今のあなたが伝えたい言葉、かけてあげたい言葉、理解してあげたい気持ちなどを書き出してみましょう。

(紙に書き出す形式の例)


ステップ4:過去の自分へのメッセージ


ワークを終えて

このワークは、許せない感情が単なる今の出来事への反応ではなく、過去から続く長い物語の一部である可能性を示唆しています。感情の根源にある「過去の傷」に気づき、それを現在の感情と結びつけて理解することは、感情に振り回されるパターンから抜け出し、より深く自分自身を受け入れるための一歩となります。

過去の傷そのものをすぐに癒やすことは難しいかもしれません。しかし、その存在に気づき、現在の感情との繋がりを理解するだけでも、感情に対する捉え方が変わることがあります。感情が、過去の自分からの「ここに傷があるよ、気づいてほしいな」というメッセージであると捉え直すこともできます。

このワークは一度きりで完了するものではありません。時間を置いて繰り返し行ったり、別の許せない感情について試してみたりするのも良いでしょう。もし、このワークを通じて強い感情に圧倒されたり、一人で抱えきれないと感じたりした場合は、信頼できる友人や家族に話を聞いてもらったり、専門家(カウンセラーやセラピストなど)に相談することも検討してみてください。

ご自身の感情と向き合い、過去の自分を理解しようとするあなたの歩みを、心から応援しています。このワークが、あなたの心の平穏を取り戻すための一助となれば幸いです。