怒りと向き合うワークブック

未来への希望を取り戻すための許せない感情との向き合い方 - 紙での書き出しワーク

Tags: 感情整理, 書き出しワーク, 未来, 希望, 心理学

許せないと感じる怒りや、心に深く刻まれた悲しみといった感情は、時として私たちの未来に対する見方や、前に進もうとする意欲に大きな影響を与えることがあります。過去の出来事にとらわれ、「どうせうまくいかない」「希望なんて持てない」と感じてしまうことがあるかもしれません。

こうした感情は非常に個人的でデリケートなものであり、誰かに話すことが難しい場合もあります。しかし、感情を心の内に留めたままにしておくと、それが未来を閉ざしてしまう壁になってしまうこともあります。

このページでは、そうした「許せない感情」を抱えながらも、未来への希望を見つけ、次の一歩を踏み出すための具体的な書き出しワークをご紹介します。紙と筆記用具があれば、どなたでもご自身のペースで安全に取り組むことができます。

許せない感情が未来に与える影響を理解する

許せない感情が未来に影響を与えるのは、主に以下のような理由が考えられます。

これらの影響を認識することは、感情と未来の関係性を整理する第一歩となります。感情そのものを消し去ることは難しくても、その感情が未来に与える影響を理解し、それに対処する方法を学ぶことは可能です。

未来への希望を見出すための書き出しワーク

ここでは、許せない感情と向き合いながら、未来への視点を少しずつ開いていくための書き出しワークをご紹介します。紙とペンをご準備ください。

ワーク1:感情が映し出す「未来への恐れ」を書き出す

まず、現在抱えている「許せない感情」(怒り、悲しみ、後悔など)に意識を向けます。その感情が、あなたの未来について、どのような「恐れ」や「不安」を感じさせているかを具体的に書き出してみましょう。

紙を半分に折り、左側に「感じている感情(例: 〇〇に対する怒り)」、右側に「その感情が未来について思わせること(恐れ・不安)」という見出しをつけます。

書き出し例:

| 感じている感情 | その感情が未来について思わせること(恐れ・不安) | | :--------------------- | :-------------------------------------------------------------------------------------------------------------- | | あの時の失敗への後悔 | これからも同じ失敗を繰り返すのではないか。新しいことに挑戦しても、また恥をかくのではないか。 | | 裏切られたことへの怒り | 他の誰も信用できなくなるのではないか。親しい関係を築くのが難しくなるのではないか。結局、また傷つくことになるのではないか。 | | 喪失による悲しみ | この悲しみが一生続くのではないか。楽しいと感じることが二度となくなるのではないか。一人で生きていくのは無理なのではないか。 |

ポイント:

ワーク2:「本当は望む未来」を描いてみる

次に、もし今抱えている許せない感情が、あなたの未来を閉ざすものだとしたら、その感情がなかったとしたら、あなたはどんな未来を望むのかを自由に描いてみましょう。これは現実的かどうかに関わらず、心の奥底にある「本当の願い」に基づいた未来です。

新しい紙を用意し、真ん中に「本当は望む未来」と見出しをつけます。その周りに、あなたが心から望む未来の姿、状態、そこで感じたい感情などを、単語や短い文章で書き出してみましょう。絵や図を加えても構いません。

書き出し例:

ポイント:

ワーク3:感情を抱えながらも「できること」を見つける

ワーク1で感情と未来への恐れを、ワーク2で望む未来を描きました。このワークでは、現在の感情を「抱えている自分」でも、望む未来に少しでも近づくために「今日できること」「明日できること」といった小さな一歩を見つけ出します。

紙を3つの列に分け、左から「現在の感情」「望む未来(一部を抜粋)」「今日/明日できる小さな一歩」という見出しをつけます。ワーク1とワーク2で書き出した内容を見ながら、現在の感情を認識しつつ、望む未来につながる行動を考えます。

書き出し例:

| 現在の感情 | 望む未来(一部抜粋) | 今日/明日できる小さな一歩 | | :----------------- | :------------------------- | :-------------------------------------------------------- | | あの時の失敗への後悔 | 新しいことに挑戦している自分 | 新しい分野の本をパラパラと眺めてみる。気になった情報を一つ調べる。 | | 裏切られたことへの怒り | 信頼できる人との交流 | 長い間連絡を取っていない友人(信頼できる人)に簡単なメッセージを送ってみる。 | | 喪失による悲しみ | 心が穏やかでいられる日々 | 5分だけ、静かな場所で深呼吸をしてみる。温かい飲み物をゆっくり飲む。 |

ポイント:

ワークに取り組む上での心構え

これらのワークは、感情を否定したり、無理にポジティブになろうとしたりするものではありません。

ワークを終えて

これらの書き出しワークを通じて、許せない感情があなたの未来に対してどのような影響を与えているのか、そして、あなたが心の奥底でどのような未来を望んでいるのかが、少し明確になったかもしれません。

感情を抱えている自分自身を認めつつ、それでも望む未来に向かってほんの小さな一歩を踏み出すこと。このワークが、そのための一助となれば幸いです。書き出した内容は、定期的に見返したり、新しい気づきがあれば書き加えたりすることで、継続的な心の整理につながります。

未来への道筋は、遠く霞んで見えなくても、今日の小さな一歩から始まります。ご自身の心の声に耳を傾けながら、丁寧に、そして穏やかに、未来への扉を少しずつ開いていかれることを願っています。